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大地の祠 〜夜空の洞窟〜 |
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7. 手を拭い終えたナダに、ラウェルスが小瓶を返した。「その君の優しさのお陰で<蛇の乙女>の邪視の防ぎ方も分かったし、大地の精霊の弱点も分かったんだ」 「確かに、あれは盲点でしたね」 レルディンは言った。 「水、炎、風は互いに強弱の関係があるのですが、大地だけはそれには関係がないのですよ。ですから、弱点などないも同然だったのですが」 水は風に弱く、炎に強い。炎は水に弱く風に強い。そして風は炎に弱く水に強い。ゆえに、もし魔術師がいるならば、それぞれの精霊は弱点である属性の魔法で攻撃すれば、比較的たやすく倒せるのだ。残念ながら、ナダもラウェルスもレルディンも魔術師ではないのだが。 「石化の魔力は大地の精霊力。それを解除するのが石化回復ならば、大地の精霊を弱らせることも簡単だというわけですね」 「とにかく、君のしたことは正しかったんだ、ナダ」 そう言って、ラウェルスはナダの頭を優しくぽんぽんと叩いた。ナダは恥かしそうに微笑み、こくんと頷いた。 次の階段は上りだった。緩やかだが長い階段で、二度、少しだけ向きを変えた。星空のような洞窟の中なので、天に昇って行っているような気分だ。 やがて階段は、両開きの扉の前で終わった。祠の入り口の大理石の扉と全く同じように、ギルラン王家の紋章と<鍵>の記号が彫り込まれている。この奥は祭壇の間だ。どうやら運良く、狂った<蛇の乙女>には会わずに済んだようで、ナダは心底ホッとした。だが、まだ問題はある。いや、これからが本番なのだ。 ラウェルスが振り向いて言った。 「作戦を立てるぞ。レルディンはその魔法のかかった剣を抜いて、祭壇の陰で待機。ナダは入り口付近でオニールの蛇の血と短刀を用意して待機だ。俺が祭壇の前の台座に手を触れるから――」 「それじゃランが危ない」 ナダがそう言うと、ラウェルスは悠然と微笑んだ。 「まだ俺が信じられない?」 「それは……」 「それに、君がうまくやってくれれば、何の問題もない。俺は君の俊敏さと投擲の正確さを信じてるよ」 ラウェルスは他人を丸め込むときに使うとっておきの最高に魅力的な笑みを浮かべ、ナダの頬に優しく片手を当てた。ナダはみるみる真っ赤になって、ただ頷くことしかできなかった。 「よし、復習だ」 ラウェルスは言った。 「まず、俺が台座に近づく。すると、大地の精霊が現れる」 「すぐにあたしがオニールの血が入った瓶を精霊に投げつけて、そこに短刀を当てて瓶を割る」 「精霊が弱ったところを。わたしが剣で斬る――ですね? 単純ですが、まあ、それがいちばん良い方法でしょうね」 レルディンがそう締めくくると、ラウェルスは理解の早い仲間たちに満足して頷いた。 「よし、入るぞ」 |
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